民間放送連盟/テレビCMの日/「あやや漫才・腹話術」篇

[CM内容] http://www.enjoy-cm.com/ (民放連のキャンペーンサイト。画面右のメニュー内の「キャンペーンCMを見る」をクリック!)
 
 ・民放連こと民間放送連盟が今年から3年間の予定で始めた、『CMのCMキャンペーン』のCM(ややこしいですね)。
 
 ・52年前の1953年8月28日に日本で初めてのテレビCMが放送された、ということからこの日を「テレビCMの日」とし、今年の8月1日から『CMのCMキャンペーン』と銘打って、テレビCMに関する啓蒙を行うことがこのキャンペーンの目的で、その告知CMに、みのもんた(「調整室篇」・「スタジオ篇」)と松浦亜弥(「漫才篇」「腹話術編」)が起用され、計4作品がオンエア中。
 ※これに関するサンスポの記事: http://www.sanspo.com/geino/top/gt200507/gt2005080105.html
 
 ・内容は、それぞれ最初にキャンペーンのアニメキャラクター、「コマーさる君」が登場して「CMのCM!」と歌ったあとに:
 
 ・『漫才篇』: 架空の舞台の上での「コマーさる君」とあややの掛け合いで、
   (二人で)   「どうもー!」
   (コマーさる) 「CMには何といってもインパクトが必要だね!」
   (あやや)   「そうそう、おめかしして映らないと。パフパフ」
   (コマーさる) 「それ、コンパクト」 (と突っ込む)
   (二人で)   「うひっ!」 (といいながら両手を頭の上でおサルのポーズ)
   (ナレーション&スーパー)  「エンジョイCM!」
   (コマーさる) 「8月28日は、テレビCMの日!」
 
 ・『腹話術編』: あややが腹話術氏になり、人形となっているもう一人のあややと掛け合いで、
   (あやや)  「ねえあやや、CMって楽しいね」
   (人形)   「楽しいね」 (腹話術の人形らしい言い方でそっけなく)
   (あやや)  「本当にそう思ってる?誰かに言わされてない?」
   (人形)   「腹話術だもん、言わされてるに決まってるじゃん」
   (二人で)  「!!!」 (驚いて首をすくめる)

   (ナレーション&スーパー)  「エンジョイCM!」
   (コマーさる) 「8月28日は、テレビCMの日!」

 
 
 
[広告戦略(予想)]
 
<CM制作の背景>
 ・CMが始まってから50年余り、テレビCMは企業のメッセージだけでなくその時の流行や文化を伝えるものとして大きな影響力を持っているが、毎日目にすることであまりにも身近になり、CMへの興味が薄れてしまったのでは?と思い始めた。(キャンペーンサイトより)
 
 ・そこで、自分たちももう一度CMをよく見つめなおし、その役割をあらためて考えることにし、同時に視聴者にももっとテレビCMに興味を持ってもらいたいと思い、日本初のテレビCMオンエア日の8月28日を「テレビCMの日」とし、テレビや雑誌、電車の中などでテレビCMの魅力を紹介していくこととした。(同上)
 
 ・また、近年インターネットの急激な普及や、DVR録画の際にCMをスキップすることなどによりテレビCMの効果に関しての疑問の声が上がっており、これに対してこのあたりで一石を投じる必要も民放連としてはある、と判断した。(私の予想)
 
 
<CMのターゲット>
 ・コアターゲット: テレビCMが最近面白くないなあ、と思っている老若男女
 
 ・セカンダリーターゲット: 広告主・広告会社など業界関係者一般
 
 
<CMで最も伝えたいこと>
 ・テレビCMは、時代の鏡でもあり、生活の役にも立ち、エンターテインメントでもあるとても大切なもの。
 
<ブランド戦略>
 ・物理的ベネフィット: 時代を感じることが出来、最新の情報がぎゅっと詰まった、しかも楽しい気持ちを味わえる
 
 ・心理的ベネフィット: 楽しみながら役に立つ情報が手に入る
 
 ・サポート: いつも世の中の話題になっている、日本で最も広告費が使われている、リーチ(広告到達率)が他媒体に比べて格段に高く、影響力が最もある広告媒体
 
 ・トーン&マナー: 楽しい、スピーディーな、常に新しい、みんなの気持ちがわかる
 
 
<広告アイディア>
 
 ・テレビCMの持つ魅力の中でも特に強い「情報価値」と「エンターテインメント性」をしっかり訴えるため、それぞれにその価値を体現しているような別々のタレントを起用し、彼らを通じてキャンペーンに対する興味と話題を喚起する、というアプローチを取る。
 
 ・そのタレントには、エンターテインメントの方は数多くのCMに出演し、CM好感度上位の常連でもある松浦亜弥を起用し(情報価値の方はワイドショーなどで大忙しのみのもんたを起用)、彼女に面白おかしくテレビCMの魅力を伝えてもらうこととする。
 
 ・ただし、数多くのCMに出演している、ということは彼女の別の面を見せなければ他との差別化が出来ない(「あれってグリコのCMじゃなかったの?」など)ため、彼女が今まであまりやっていない設定を作り、話題性と記憶に残るものを狙う。そこで、現在、若手のお笑いブームであることから、彼女に漫才をしてもらい、その相方としてキャンペーンのキャラクター「コマーさる」を用いてCMのインパクトの大切さ、また「企業からの一方通行のメッセージでは届かない」ことのメタファーとして腹話術をモチーフにしたストーリーを作ることとする。
 
 
[出来上がったCMの評価(個人的)]  ★★ (満点:★5つ、☆は0.5点)
 ・正直、なぜ民放連がテレビCMの良さを語らなければならないのか、というもともとの目的がよくわかりません。
 
 ・主協(日本広告主協会)、業協(日本広告業協会)、ACC(全日本シーエム放送連盟)といったところが音頭をとってやる、というのであるならまだわからないでもないのですが(でもそれでもかなりお金がもったいない?)、民間放送連盟という団体であるのなら、テレビCMの啓蒙なんかよりももっと注力すべき大切なことがいろいろあるのではないか、と思ってしまいます。
 
 ・確かに8月はテレビスポットの閑散期なので、もしかすると各局は空いている枠を提供する形で無償のオンエアができるから、なのかもしれませんが、それにしても。
 
 ・でもって、CM自体の内容も、これを見たからCMというものの存在を見直す、といったような「インパクト」も「情報をぎゅっと凝縮した」ものでもなく(それぞれ各CMであややとみのさんがテレビCMというものの特徴として言うセリフ)、WOWOWのさんまと福山雅治の「さんまーしゃ」のアイディアをそのまま使ってしまったような「漫才」篇や、超多忙な人のほんの少しの空き時間を使って作ってしまいました、というようなみのもんたバージョンなど、特に何か目新しいとか、すごいとか、そういうものもなく、ちょっと漫然と作ってしまった、先に「入れ物」ありき、の作品のような気がしてしまいます。

 ・「制作の背景」でも勝手な予想として書かせてもらいましたが、どうも最近のネット広告の脅威とか、DVRによるCMスキップの問題とか、海外でのテレビCMの元気のなさとか、テレビCMの売上への効果の昔と比べての低下具合とか、テレビCM自体に対する最近の逆風に過剰に反応してしまって、その対応策をあわててやってしまいました、というような気もします。
 
 ・ぜひ、民放連としての現在主張すべき問題の再確認をお願いしたいです(こんなことに時間とお金を費やしてる場合なのでしょうか?という意味で)。 ここでしっかり踏ん張ってもらわないと、広告メッセージを流す媒体の屋台骨としての存在を自ら揺らすことになり兼ねないのでは、と。

 

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